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天界と地獄 537

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537 しかし、ここで最初に均衡について述べておきます。
二つのものが相互に反して働き、一方が働きかけ、駆りたてれば駆りたてるほど、それだけもう一方が反応し、抵抗するとき、どちらの側にも等しい内在的な力があるので、どちらの側にも何も力がなく、その時、どちらの側も第三のものによって自由に働きかけられることがよく知られています。なぜなら、同等の対立から二つのものに何も力がない時、第三のものの力が、何も対立するものがないかのように、すべてのものに容易に働きかけるからです。
[2]このような均衡が天界と地獄の間にあります。一方の力がもう一方の力と同等な強さの身体をもつふたりが闘うようなときの均衡ではなくて、霊的な均衡です。すなわち、真理に対する虚偽、善に対する悪の均衡です。地獄からは絶えず悪からの虚偽が吹き込み、天界からは絶えず善からの真理が吹き込んでいます。
[3]人間が自由に、考え、意志するようにしているものは、この霊的な均衡です――なぜなら、人間が考え、意志するものは何でも、悪とそこからの虚偽に関係するか、または善とそこからの真理に関係するからです。したがって、その均衡の中にいるとき、自由に、地獄からの悪とそこからの虚偽が入るのを許すかまたは受け入れます、あるいは天界からの善とそこからの真理が入るのを許すかまたは受け入れます。
主は、天界と同じく地獄を、二つとも支配されるので、それぞれの人間はこの均衡の中に保たれます。
けれども、神的力により人間から悪と虚偽が取り除かれ、善と真理がもたらされないで、なぜ、人間が均衡によってこの自由の中に保たれるのかは、このあとの章の中で述べます。