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天界と地獄 108

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108  世の中のすべてのものが神的なものから存在するようになり、自然の中に存在し、役立ちを果たし、こうして自然の中で対応することができるようなものを着せられていることは、動物界と同じく、植物界に見られる個々のものからきわめて明らかです。もし内的なものから考えるなら、両方の界にこのようなものがあり、それらは天界から存在することを、だれもが見ることができます。
無数にあるものから、説明のために少しばかり記述しておきます。最初に、〝動物界〟の中のものからです。
どの動物でも、あたかも植えつけられたかのような知識をもっていることが、多くの者に知られています。
ミツバチは花から蜜を集め、蜜蝋から小室を作り、その中に蜜をたくわえ、このように自分自身や仲間の群れに、さらにまたこれから来る冬のために、食べ物を備えることを知っています。女王バチは卵を産み、他のハチは仕え、それらの卵をおおいで包み、ここから新しい子孫が生まれるようにします。すべてのハチは、植えつけられたものから、ある王国の形の中に生きて、役に立つハチを守り、役立たないハチの羽を奪って追い出すことやその他にも驚くべきことを知っています。それらは彼らに天界から役立ちのために与えられています。全世界の人類に、蝋はろうそくとして、蜜は食べ物の味つけのために役立つからです。
[2]動物界で最下等である小さい虫には何があるでしょうか?
虫は、自分に適する葉の液汁から滋養物をとり、その後、定まった時に、いわば胎内に入るかのようにして、自分のまわりにおおいを着せ、このように自分たちの種族の子孫を孵化することを知っています。
あるものは最初に若虫やさなぎに変わり、糸を作り出し、苦労を重ねた後、羽で装飾された別のからだで飾り、その虫の天界かのように、空中を飛び、結婚を祝い、卵を産み、自分たちの子孫を備えます。
[3]これらの他に特に、空を飛ぶ動物は全般的に、滋養物となる自分の食べ物を、その食べ物がどんなものであるかだけでなく、どこにあるかも知っています。他とは異なった自分の巣を作ること、そこに卵を産み、その上に座り、ひなを孵化すること、育てること、ひなが自分の責任でできるようになったとき家から追い出すことを知っています。さらにまた、避けなければならない敵や仲間となれる友を最初の幼いときから知っています――卵そのものの中の驚くべきことについては言わないことにします。そこには、ひなが形成され始めるためのすべての滋養物が、秩序のうちに、準備されています――この他にも、無数のものがあります。
[4]何らかの理性的な知恵から考える者が、「これらは霊界以外の別のところからのものである」などと言うでしょうか? 自然的なものは、霊界からのものにそれ自体を着せるために、すなわち、身体として仕え、原因である霊的なものが結果の中にあるようにするために仕えます。
地上の動物や空を飛ぶ動物は、それらのすべての知識の中に生まれています。それでもそれらの動物よりもすぐれている人間はそれらの知識に生まれていません。その理由は、動物は自分のいのちの秩序の中にいて、理性的なものはないので、霊界から自分の中にあるものを滅ぼすことができないからです――霊界から考える人間は異なっています。人間は、理性に賛同して、霊界から自分のもとにあるものを秩序に反した生活によって滅ぼしたので、それゆえ、無知の中に生まれることしかできないで、その後、神的な手段によって天界の秩序の中に戻されるのです。