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天界と地獄379

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379 結婚愛はひとりの夫と多くの妻との間にもありえません。なぜなら、そのことは、二つの心から一つの心(mens)が形作られるというその霊的な起源を破壊し、したがって、善と真理の結合である内的なものの結合を破壊するからです。その愛の本質そのものはその結合からです。
ひとりよりも多くの者との結婚は、多くの意志に分割された理解力のようです。そして一つの教会でなく、多くの教会に帰属する人間のようです、こうして彼の信仰は何も生じないまでも取り去られるからです。
天使は、「多くの妻をめとることは神的な秩序にまったく反しています。またこのことを多くの理由から知っています。多くの者との結婚について考えると直ぐに、内なる至福と天界の幸福から引き離され、その時、自分たちのもとで善はそれ自体の真理から切り離されるので、酔いどれのようになることからも知っています。自分たちの心に属す内的なものは何らかの意図とともに思考だけからこのような状態にやって来るので、ひとりよりも多くの者との結婚は自分たちの内的なものを閉ざし、結婚愛に代わってみだらな愛が入り込むようになり、その愛が天界から連れ去ってしまいます。私たちはこのことをはっきりと知覚しています」と言いました(*6)
[2]彼らはさらに、「本物の結婚愛の中にいる者は少ないので、人間はこのことをほとんど悟りません。その愛の中にいない者は、その愛の中にある内的な快さについてまったく何も知らず、みだらな快さについてだけ知っています。その快さはしばらくの同棲の後、不快に変わります。しかし、真の結婚愛の快さは世で老年にまで持続するだけでなく、死後、天界の快さにもなり、その時、永遠に完成される内的な快さに満たされます」と言いました。
さらにまた、「真の結婚愛の祝福は数千も列挙することができますが、それらの一つも決して人間に知られていません。主からの善と真理の結婚の中にいない者は、理解力で把握することもできません」と言いました。


*6 夫は妻と一つになり、いのちの最内部でともに住まなければならず、一緒に天界のひとりの天使となるので、それゆえ、真の結婚愛はひとりの夫と多くの妻との間にありえない(1907, 2740)。
同時に多くの妻をめとることは神的な秩序に反している(10837)。
ひとりの夫とひとりの妻とでないなら結婚が存在しないことは、主の天界の王国にいる者により明らかに知覚されている(865, 3246, 9002, 10172)。その理由は、そこの天使は善と真理の結婚の中にいるからである(3246)。
イスラエル民族には、多くの妻をめとることが、また妻にめかけを付き添わせることが許された、けれども、キリスト教徒には許されない、その理由はその国民は内なるもののない外なるものの中にいたからであった。けれども、キリスト教徒は内なるものの中に、このように善と真理の結婚の中にいることができる(3246, 4837, 8809)。