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結婚愛 507

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507 (1) 多様なものへの情欲によってまったく放埓な淫行の情欲が意味される
 この情欲が、青年期の中で貞節の抑制をゆるめ、娼婦を得る機会が欠けていない者のもとにしみ込みます、特に、もし〔娼婦への〕報酬に費やす富も〔欠けてい〕ないなら――この情欲を、無秩序のまた際限のない淫行によって、また女性の愛についての恥ずかしさの何もない思考によって、姦淫は悪ではない、まったく罪でないとの確信によって、自分自身に植え付け、根づかせます。
 この情欲が、彼らのもとで前進して、世の全部の女を欲し、そして群れ(=ハーレム)を、そして毎日、新しい女を望むようにまでも増大します。
 この情欲は人間のそれぞれの者に植え付けられた普遍的な性愛から、また完全に結婚のものである〔異〕性からのひとりへの愛から、それ自体を投げ出し、そしてそれ自体を外的な心(cor)の中へ押し込みます、それら〔外的な心〕から分離した愛の歓喜として、それでもそれらからであるので、それゆえ、活力が衰えた後、触覚の中に残っているように、これほどに深く皮膚に植え付けられます。
 これらの者は姦淫を何とも思いません、それゆえ、全部の女性について普通の娼婦についてのように、また結婚について普通の売春についてのように考え、このように不謹慎を貞節に混ぜ合わせ、〔その〕混合から狂います。
 これらから、多様なものへの情欲によって何がここに意味されるか、まったく放埓な淫行の情欲であることが明らかです。