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結婚愛 509

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509 (3) その情欲は自分自身のもとの結婚愛をまったく絶滅させる
 そして、その愛を引き裂くだけでなく、それをちりかのようにすり砕き、このように無へと減ずるような対立があります――なぜなら、結婚愛は〔異〕性からのひとりへのものです、けれどもその情欲はひとりの者にとどまりません、しかし彼女に対して以前に熱のようであったものが、1時間または1日の後、冷淡に向けられるからです。また、冷淡は嫌悪であるので、これは強制的な同棲と滞在によって、吐き気へまでも積み上げられ、このように結婚愛はその残りが何もないほどに滅ぼされます。
 これらから、この情欲は結婚愛の殺害であることを見ることができます。結婚愛は人間のもとのいのちの最内部をつくるので、それはそのいのちの殺害です。また、その情欲は、心の内的なものの継続的な中断と閉鎖によって最後に皮だけの(上っ面の)ものに、このように単なる誘惑的なものになります。それでも、理解する能力、または、推理力は残っています。