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神の愛と知恵 269

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269 (4) 愛とここから生活のものになったそれらのものは、子孫に伝えられる
 人間は悪の中に生まれていること、それを遺伝として両親から得ていることはよく知られています——ある者は、両親からではなく、アダムから両親を通してである、と信じていますが、このことは間違いです。それを父から得ていて、彼の霊魂は父から、そして母のもとで身体を着せられるのです。というのは、父からのものである精子は、いのちの最初の容器ですが、父のもとにあったような容器です、というのは、精子は彼の愛の形の中にあり、それぞれの者の愛は最大のものと最小のものの中でそれ自体に似ており、その中には人間の形への努力があり、さらにまたその中へと連続的に進むからです。ここから、遺伝と呼ばれる悪は、父たちから、このように祖父たちや先祖たちから連続的に子孫の中にあることがいえます。
 このことは経験からもまた教えられます。というのは、情愛に関して氏族とその最初の氏族の間に類似性が、さらに一族に類似性、その上さらに家族に類似性があるから。それどころか、気質からだけでなく、顔からもまた一族が見分けられるような類似性があります。しかし、悪の愛が両親から子孫へ出生によって伝達されることについては、続いて、心すなわち意志や理解力と、身体やその肢体や器官との対応について扱う中で、多くのことを述べます。
 ここにこれらのわずかなことだけを示したのは、悪は両親から連続的に導かれ、一人また一人と積み上げて、人間が出生から悪以外の何ものでもないようにまで増大すること——悪の有害性は霊的な心を閉ざす段階にしたがって増大すること、なぜなら、自然的な心もまた上方で閉ざされるから、このことは、悪を罪として避けることによって主からでないなら子孫の中で回復されないこと、そうでなければこのように霊的な心は開かれず、そのことによって自然的な心は対応する形に戻されること、これらのことが知られるためです。