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天界と地獄 9

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9 天使は自分の知恵からさらに先へ進めて、「すべての善と真理だけでなく、すべてのいのちもまた主からのものです」と言い——このことを次のことから確信しています。何であれ、すべてのものはそれ自体から存在することはできず、それ以前のものから存在するのであり、そのようにすべてのものは、すべてのいのちの〝エッセ(存在)そのもの〟と呼ばれる〝最初のもの〟から存在するようになり、また同じく存続すること、そして存続することは絶えず存在するようになることであるので、中間のものを通して〝最初もの〟と常なる結びつきの中に保たれないなら、それは直ちに分解し、完全に消散することです——これに加えて、「唯一のいのちの泉が存在し、人間のいのちはそこからの流れです。人間のいのちがその泉から絶えず存続しないなら直ちに消滅します」と言っています。
[2]さらに、「主である唯一のいのちの泉からは、神的善と神的真理以外に何も発出せず、それらは、それぞれの者が受け入れるのにしたがって働きかけます。それらを信仰と生活で受け入れる者は、彼らの中に天界があるが、それらを退けるかまたはそれらを窒息させる者は、それらを地獄に変えてしまいます。彼らは善を悪に、真理を虚偽に、このようにいのちを死に変えるからです」と言いました。
さらにまた、全世界の中のすべてのものは善と真理に関係し、人間の愛のいのちである意志のいのちは善に関係し、人間の信仰のいのちである理解力のいのちは真理に関係することから、すべてのいのちは主からのものであることも確信しています。それゆえ、すべての善と真理が上方からやって来るとき、すべてのいのちもまた上方からやって来ることがいえます。
[3]天使はこのように信じているので、それゆえ、自分たちが行なう善に対する感謝のすべての行為を拒み、もしだれかが善を自分たちに帰するなら、憤り、引き下がってしまいます——〝自分自身から賢い〟、〝自分自身から善を行なう〟と信じる者に驚きます——自分自身のために行なう善は、自分自身から行なうので、善とは呼びません。しかし、善のために善を行なうとき、その善を神性からの善と呼んでいます。その善は主であるので、天界をつくるものはこの善です(*3)


*3 主からの善は本質的に内部に主をもっている、けれども、プロプリウム(固有のもの)からの善はそうではない(1802, 3951, 8478)。