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天界と地獄269

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269  天使の知恵がどんなものであるかは言葉で述べることはできません、しかし、何らかの全般的なものによってだけ説明することはできます。
天使は、一つの言葉で人間が千の言葉で表現できないことを表現することができます――さらに、天使の一つの言葉には、人間の言語で表現することができない無数のものが内在します。天使が話す個々のものの中に知恵のアルカナが絶えず結びついて存在し、人間の知識では決してそれに達しないからです。
さらにまた、天使は自分の話し方の中で、言葉で述べ尽くせないことを音声で補います。その音声には事柄の情愛が適切な順序で内在します、なぜなら、前に述べたように(236, 241番)、音声によって情愛が表現され、言葉によって情愛からの思考の観念が表現されるからです。ここから、天界で聞かれるものは言語に絶するものと言われます。
同様に天使は、何らかの書物に書かれた一つひとつのものを少ない言葉で言い尽くすことができ、それぞれの言葉に内的な知恵へと高揚するようなものを注ぎ込むことができます。彼らの話し方は、情愛と一致し、それぞれの語は観念と一致するようなものであるからです。言葉もまた全体として思考の中にある連続する事柄にしたがって無限の仕方で変化します。
[2]さらにまた、内的な天使は、音声とともに話しているいくつかの言葉から、話している者の全生活を知ることができます。なぜなら、彼らは言葉の中で観念によって変化している音声から、その者を支配している愛を知覚するからです。その愛に、いわば彼の生活(いのち)の個々のものが刻み込まれて内在しています(*4)
これらから、天使の知恵がどんなものであるか明らかです。
彼らの知恵は、人間の知恵に対して、一に対する万のようです――比較すれば、全身の中で運動する無数の力のようなものです、行動を起こしているその力は人間の感覚の前には一つのように見えます。または、肉眼では不明瞭な一つのものに見えるものが、よくできた顕微鏡でその対象物が千にも見えるようなものです。
[3]さらにまた、このことを例で説明します――天使がその知恵から再生ついて述べ、そのアルカナを適切な順序で数百も示し、それぞれのアルカナを観念の中にさらに内的なアルカナをもつ観念で満たし、このことが最初から最後までなされました。どのようにして霊的な人が新たにみごもり、いわば子宮の中に運ばれ、生まれ、成長し、連続的に完成されるか説明したからです。その天使は、「このアルカナの数を数千にまでも増やすことができます。また、述べたことは単に人間の外なる再生についてであり、内なる再生については数え切れない多くのものがあります」と言いました。
天使から聞いたこれらや他の同じようなものから、私は、彼らの知恵がどれほど大きなものか、また相対的に、再生とは何かをほとんど知らず、再生されるときの発達の段階を何も知らない人間の無知がどれほど大きなものか、明らかにされました。


*4 人間のもとであまねく支配しているもの、または統治しているものは、彼の生活(いのち)の個々のものの中にあり、そのように、その思考と情愛の個々のものとすべてのものの中にある(4459, 5949, 6159, 6571, 7648, 8067, 8853-8858)。
人間は、どのような愛が彼を支配しているかによって、そのようなものとなる(917, 1040, 8858)。例による説明(8854, 8857)。
人間をあまねく支配するものは、その人間の霊の生活(いのち)をつくる(7648)。
それは彼の意志そのもの、彼の愛そのもの、彼の生活の目的である。人間は意志するものを愛し、愛するものを目的としてもつからである(1317, 1568, 1571, 1909, 3796, 5949, 6936)。
それゆえ、人間はどのような意志が、またはどのような愛が彼を支配しているか、または彼の生活の目的がどのようなものかによって、そのようなものになる(1568, 1571, 3570, 4054, 6571, 6935, 6938, 8856, 10076, 10109, 10110, 10284)。