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天界と地獄 586

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586 さらにまた、地獄を覗き込み、内部がどのようであるか見ることが私に与えられました。なぜなら、主が喜ばれるとき、上にいる霊と天使は、おおうもので妨害されることなく、最も低いものにまで視覚を及ばせ、どのようなものであるか調べることができるからです――私にもまた、このようにその中を覗き込むことが与えられました。
外観では、ある地獄は、ゴツゴツした岩山の中の洞窟やほら穴に見え、内部へと伸びて、そこからまた深い所へ斜めあるいは垂直に向かっています。
ある地獄は、外観では、森の中の獣の巣や岩穴に似たものに見えました。
あるものは、鉱山にあるような丸天井の洞穴やあなぐらに似て、それには下方に向かう穴がありました。
大多数の地獄は三つの部分からなっています。上のものは、そこにいる者は悪の虚偽の中にいるので、内部が暗黒に見えます。けれども、下のものは、そこにいる者は悪そのものの中にいるので、火のかたまりに見えます。なぜなら、暗黒は悪の虚偽に、火は悪そのものに対応するからであり、内的に悪から行動した者は地獄のさらに深いところに、けれども、外的に行動した者は、それは悪の虚偽からですが、あまり深くないところにいるからです。
ある地獄は、火事の後の家や都市のがれきのように見え、地獄の霊はそれらの中に住み、隠れています。
穏やかな地獄は、粗末な小屋のように見え、路地や街路とともに都市の姿をして隣接しているものもあります。その家々の中の内部には地獄の霊がいて、そこでは、けんか・反目・むち打ち・衣服の引き裂き合いが絶えません。街路や路地では強奪や略奪が行なわれます。
ある地獄は売春宿だけであり、あらゆる種類の汚物と排泄物で満ち、きたならしく見えます。
さらにまた暗い森があって、地獄の霊はその中を獣のように歩きまわります。そこにはまた地下の洞穴があり、他の者から追いかけられている者はその中へ逃げ込みます。
不毛で砂だらけの荒野もあり、そのあるところには洞穴のあるゴツゴツした岩山があり、あるところには小屋があります――最大の処罰を受けた者は、特に、世で他の者をだます技巧と欺きに努め、考案した者は、地獄からそれらの荒野へ追い出されます。彼らの最後の生活はこのようなものです。