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結婚愛 107

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107 すぐに、四度目〔の紙を〕を引き出した——
 「窓の下の私たち同国人は、性愛と結婚愛の起源は同じである、前者から後者があるからである、と決定した。ただ、性愛は、制限のない、不確定な、放埓な、見境のない、定まった対象がないものである、しかし、結婚愛は、制限され、限定され、束縛を受け、確定した、不変なものである。また、それゆえ、この愛は人間の知恵の思慮分別により、規定され、確定されており、そうでなければ、帝国・王国・共和国も、それどころか社会もなく、人間は群れまた群れのように、娼婦や強奪された女とともに野と森の中をさまよい、そして場所から場所へと、残酷な殺害・強姦・略奪を避けて、逃げ、それらによって全人類は絶滅へ向かったであろうからである——これが結婚愛について、私たちの判断である。
 しかし、結婚愛の力すなわち〔性的〕能力を、私たちは、出生から老年まで絶えず続いている身体の健康から導き出す。というのは、絶えず無事で、安定して健康であることのできる人間は、活力で衰えないから。その繊維・神経・筋肉・挙睾筋は、不活発にならず、弛緩されず、衰えない、しかしその力の強ささの中にとどまる——さらば」。
 これらに文字「A」が書かれていた。