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結婚愛 231

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22 友情の裁判官たちについて、彼らは「おお、なんと正しい者」と叫ばれた

231 (これらに三つのメモラビリアを加えます、第一のものはこれ——)
かつて私は叫びを聞いた、それは下方から水を通ってげっぷが出てくるようであった。一つは左に、「おお、なんと正しい者」、もう一つは右に、「おお、なんと学識のある者」、第三のものは背後から、「おお、なんと賢明な者」という叫びであった——私に、地獄にもまた、正しい者・学識のある者・賢明な者たちがいるのかという思いが起こったので、このような者がそこにいるかどうか、私は見る願いをかきたてられた。天界から私に言われた、「あなたは見、聞くであろう」。
私は霊の中で出て行き、私の前に開口部を見た。そこへ私は近づき、見下ろした。見よ、階段。これを通って、私は降った——下に着いたとき、私はいばらとイラクサの混ざった灌木でおおわれた平野を見た。私は、これが地獄かどうか質問した。
彼らは、「地獄に最も近い、その上にある〝低い地〟である」と言った。
その時、私は叫びの順にしたがって進んだ。最初に、「おお、なんと正しい者」〔のところに〕、私は彼らからの集団を見た、その者は世で友情と贈り物(賄賂)の裁判官たちであった——その後、第二の叫び、「おお、なんと学識のある者」〔のところに〕、私は彼らからの集団を見た、その者は世で議論家(理屈屋)たちであった——また第三の叫び、「おお、なんと賢明な者」〔のところに〕、私は彼らからの集団を見た、その者は世で証明家たちであった。
[2]しかしこれらから私は最初のものへ向きを変えた。そこに友情と贈り物(賄賂)の裁判官たちがいて、正しい者たちと宣言された。私は脇に、れんが構造の、黒い瓦屋根の(階段式座席のある)大講堂のようなものを見た。私に、そこに彼らの「裁判所」がある、と言われた。
その中に北の側から三つ、西の側から三つの入り口が開かれていた、南と東の側からの入り口は何もなかった。彼らの判決が公正な判決でなく、しかし、恣意的なものであるしるしであった。
(階段式座席のある)大講堂の真ん中に炉が見られ、炉の係りの者がその中へ硫黄と瀝青で処理された松を投げ込み、それらから、しっくいの塗られた壁に投げかけられた光が夕の鳥〔コウモリ〕と夜の鳥〔フクロウ〕の画像を示した。しかしその炉は、ここから光が投影され、それらの像の形となったものは、調査したそれぞれの事柄を見せかけの色で示すことができ、それらにえこひいきにしたがって形を引き起こすことができる彼らの判決の表象であった。
[3]半時間の後、私は、紫の縁飾りの上着と外套の老人と若者が入って来るのを見た、その者は判決に座るために、自分の帽子を脱ぎ、椅子の上に、机に座った。そして、私は、どれほど巧みにまた如才なく、友情の外観から判決を公正の外観の中へ傾け、ひっくり返したか、見、知覚した。また、このことを自分自身の不正が見られないように、公正としか見られないように、そして逆に公正が不正であるようにした。それらについての確信のようなものが彼らの顔から見られ、彼らの話しから聞こえた。
その時、私に天界からの照らしがあり、その照らしから個々のものが、法律のものか、あるいは法律のものでないか、知覚した。また、どれほど精を出して不正をおおい隠したか、そしてそれに公正の幻影を着せたか、法律から是認の例を選んだか、残りのものを才気のある推論によって脇へ遠ざけたかを見た。
判決の後、依頼人・友人・支持者に判決が持ち出され、彼らはこれらに賛成して報い、長い列をなして、「おお、なんと正しい者、おお、なんと正しい者」と叫んだ。
[4]この後、私は彼らについて天界の天使たちと話し、天使たちに、私が見、聞いたものについて何らかのことを語った。
天使たちは、「このような裁判官たちは、他の者に、最も鋭い能力の知性を授かったように見られます、そのとき、それでも、決して公正と公平を見ていません」と言った。「もし〔その裁判官が〕何らかもののために、友情を取り去るなら、裁判の席に彫像のように座り、単に、『私は同意を表わし、このことまたはそのことを確認する』と言う〔のを見るでしょう〕。その理由は、彼らのすべての判決は予断とえこひいきであり、それとともに、始まりからその終わりまで予断の理由が続くからです。ここから、友情のものであるもの以外に何も見ません。それらに反するすべてのものに、目をそらし、横目で眺めます。もし再び取り上げるなら、それを、クモが糸で獲物を〔捕えて〕食い尽すように誤った推論でくるみます。ここから、もしこのような自分の予断に従うなら、法律に属すものを何も見ません——見ることができるかどうか調べられ、そしてないことが見つけられました——そのようであることを、あなたの世界の住民は不思議に思うでしょう。しかし彼らに、『これは天界の天使により見つけ出された真理である』と言いなさい。
彼らは公正なものを何も見ないので、私たちは天界の中で彼らを人間として見ないで、奇怪なものとして見ます。その頭を友情のものが、その胸を不正のものが、その足を確証のものが、そしてその足の裏を公正のものがつくります。それ〔足の裏〕はもし友人に好意を持たないなら、追い出し、踏みにじります。
けれども、どんなものが私たちに天界から見られるか、あなたは見るでしょう、というのは、彼らの終わりが差し迫っているからです」。
[5]見よ。その時、突然と地面が開き、そして机の上に机が倒れ、(階段式座席のある)大講堂全体と一緒に、のみ込まれ、洞穴へ投げ込まれ、閉じ込められた。
その時、私に、「あなたはそこの彼らを見たいですか?」と言われた。
見よ。顔に関して、磨かれた鋼鉄からできているように、身体に関して首から腰まで、ヒョウの皮を着た石からの彫像のように、足に関してヘビのように見られた——私は机の上に置かれていた法律の本を見たが、それらは(遊びの)カードに変えられた。また、今や、裁くことの代わりに、彼らに、娼婦の顔に塗る辰砂(朱)を紅へと準備し、それらで、顔を美へ変える役目が与えられた。
[6]これらが見られた後に、 私は残りの二つの集団へ近づくことを欲した。一つの集団は単なる議論家(理屈家)たちがいた、またもう一つはそこに単に〔虚偽の議論で〕確認する者たちがいた。またその時、私に言われた、「少し休みましょう。彼らの上の最も近い社会からあなたに天使の仲間が与えられるでしょう。これらの者によってあなたに主から光が与えられ、あなたは驚くべきものを見るでしょう」。