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結婚愛 233

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24  証明家たちについて、彼らは「おお、なんと賢明な者」と叫ばれた

233 (第三のメモラビリア——)
この後、天使たちからのひとりが言った、「そこの『おお、なんと賢明な者』と叫ばれている場所へ、私の後に続きなさい」。また「あなたは人間の怪物を、人間のものである顔と身体を見るでしょう、それでも人間ではありません」と言った。
私は言った、「その時、獣なのですか?」
彼は答えた、「獣ではありません、しかし、獣人間です。というのは、その者は、真理が真理であるか、あるいは真理でないか、まったく見ることができず、それでもなお、何でも欲するものを真理であるようにすることができる者であるからです。このような者は私たちのもとで、〝証明家〟と呼ばれます」。
私たちは叫びに従って、その場所へやって来た。見よ、男の集団、また集団のまわりに群衆、また群衆の中に貴族からの系統の者がいた。彼らは、すべてのものを証明したことを聞いた時、自分自身もこれほどに明らかな同意で好感を持つと言い、向きを変えて、「おお、なんと賢明な者か」と言った。
[2]しかし天使が私に、「私たちは彼らに近づかないようにして、集団からひとりを呼び出しましょう」と言った——私たちは呼び出し、彼とともに離れ、いろいろなことを話した。彼はそれぞれのものを、まったく真理のように見えるまでも証明した。
私たちは彼に、正反対のものもまた証明することができるか、質問した。彼は、「前のもののように、これほどによく〔できる〕」と言った——その時、あからさまに、心から、「何が真理か? 人間が真理とするもの以外に自然の事柄の中に何らかの真理が存在するのか? 私に何でも好むところを言え、私はそれを真理であるようにする」と言った。
私は言った、「信仰は教会のすべてのものであることを真理としてください」。
これを取り囲む学者たちが驚嘆し、拍手するように、そのように巧みに、如才なく行なった。
その後、私は、仁愛が教会のすべてのものであることを真理とするよう求めた。そして〔それを〕行なった。その後、仁愛がまったく教会のものでないこと、そして両方に衣服を着け、概観で飾った。傍観者が互いに覗き込むようにして、「この者は賢明な者ではないのか?」と言った。
しかし、私は言った、「よく生きることが仁愛であること、よく信じることが信仰であることを、あなたは知らないのですか? よく生きる者は、よく信じもしませんか? このように、信仰は仁愛のもの、仁愛は信仰のものではありませんか? あなたは、これが真理であることを見ませんか?」
彼は答えた、「私はそれを真理とする、私は見よう」。そしてそれを行なって、言った、「今、私は見る」。しかし、じきにその正反対の事柄を、真理であるようにし、その時、言った、「私はこれが真理であることもまた見る」。
これに私たちはほほ笑み、言った、「正反対の事柄ではありませんか? あなたはどのようにして二つの正反対の事柄を、真理として見ることができるのですか?」
これに憤慨して答えた、「あなたがたは間違っている。人間が真理とするもの以外に何らかのものは真理ではないので、両方とも真理である」。
[3]近くにいる者が立った、その者は世で、第一位の大使であった。彼はこれに驚いて、「私は、何らかの似たものが世にあることを認める、しかしそれでも、あなたは狂っている。もしあなたにできるなら、光が暗黒、暗黒が光であることを真理であるようにしてみよ」と言った。
答えた、「このことは私に容易である。光と暗黒は目の状態でないなら何か? 目が日向からやって来る時、そのようにまた、熱心に太陽が見つめられる時、光は陰に変わらないか? 目の状態はその時、変えられること、光はここから陰のように見えることを、だれが知らないか。そして逆に、目の状態が戻る時、陰は光のように見える〔のではないか〕? フクロウは夜の暗黒を日の光のように、昼の光を夜の暗黒のように、その時、確かに太陽そのものを暗くて黒ずんだ球として見ないか? もしだれか人間がフクロウのような目を持つなら、何を光と、何を暗黒と呼ぶのか? その時、光は目の状態でないなら何か? もし目の状態なら、光が暗黒、暗黒が光ではないのか? それゆえ、一つのものが真理である、もう一つのものも真理である」。
[4]この後、大使は、カラスが白色であり、黒色でないことを真理であるようにすることを求めた。
答えた、「このこともまた、私に容易である」。
言った、「針またはかみそりを取れ、カラスの羽毛または綿毛を開けよ、内部は白色ではないか? なおまた、羽毛また綿毛を取り去れ、皮からカラスを眺めよ、白色ではないか? まわりにある陰でないなら黒色とは何か、カラスの色についてそれ〔陰〕から判断すべきではないのか?
黒色は単に陰である、光学の知識がある熟練者に相談せよ、〔そう〕言う〔であろう〕。または、黒い石またはガラスを細かいちりにすりつぶせ、あなたは、ちりが白色であることを見るであろう」。
大使は答えた、「でも、カラスは視覚の前に黒色に見えないか?」
しかし、その証明家は答えた、「〔もののわかった〕人間であるあなたは、何らかのものを外観から考えることを欲するのか? 確かに外観から、カラスが黒色であると話すことができる、しかしあなたはそれを考えることができない。例えば、あなたは、太陽が上り、進行する、沈む、と外観から語ることができる。しかしあなたは〔もののわかった〕人間であるので、あなたは、太陽は不動であり、地球は進行するのでそれを考えることができない——カラスも同様である。外観は外観である。何でもあなたが欲することを言え(=何とでも言え)、カラスはすべての点で白色である。さらにまた私は〔カラスが〕年取ったとき白くなったのを見た」。
[5]その後、私たちは、彼に、人間が真理とするものでないなら何らかの真理がないことを、冗談で言っているかどうか、あるいは信じているかどうか、心から言うよう求めた。また、答えた、「私は誓う、私は信じている」。
その後、大使は、自分自身が狂っていること真理とすることができるか、質問した。
彼は言った、「私はできるが欲しない。だれが狂っていないか?」。
この後、その万能な証明家は、彼がどんなものであるか調べる天使たちへ送られた。これらの天使は調査の後、「彼は理解力の微塵すら決して所有していません」と言った。「推理力の上にあるそのすべてのものが彼のもとで閉ざされており、単に推理力の下にあるものが開かれているからです。推理力の上に天界の光があり、そして推理力の下に自然的な光があり、この光は、何でも好むところを証明することができるようなものです。しかし、もし天界の光が自然的な光の中に流入しないなら、人間は、何らかの真理が真理であるか、ここから何らかの虚偽が虚偽であることも見ません。それらを見ることは、自然的な光の中の天界の光からであり、天界の光は主であられる天界の神からです。それゆえ、その万能な証明家は人間でも獣でもなく、獣人間です」。
[6]私は天使にこのような者の運命について、人間のいのちは天界の光からであり、この光から彼の理解力があるので、生きている者と一緒にいることができるのか、質問した。彼は言った、「自分だけでいるとき、何らかのものを考えること、ここから話すことができないで、口のきけない自動人形のように立っています、そのように深い眠りの中にいるような者です——しかし、耳で何らかのものを捕えるとすぐに目覚めます」——内部で悪い者である彼らはこのような者になることを言い足した——「これらの者の中に上のものから天界の光は流入することができません、しかし何らかの霊的なものが世を通ってだけ〔流入します〕、ここから彼らに証明する能力があります」。
[7]これらを聞いて、私は彼を調べた天使たちから、「聞いたそれらのものから全般的な結論をつくりなさい」と言っている声を聞いた。
私はこれを行なった——「何でも好むところを証明できることは、知的ではない。しかし真理が真理であり、虚偽が虚偽である、と見ることができること、またこれを証明することが知的である」。
この後、私は集会に向かって眺めた、そこに証明家たちが立っていた、群衆が彼らのまわりで、「おお、なんと賢明な者」と叫んでいた。見よ、暗い色の雲が彼らをおおい、雲の中をミミズクとコウモリが飛んだ。私に言われた、「その雲の中を飛んでいるミミズクとコウモリは、彼らの思考の対応するものとここからの外観です。虚偽を真理のように見えるまでも確認(証明)することは、この世界で夜の鳥の形の下に表象されるからです、その目を愚かな光は内部で照らし、その光から対象を光の中で見るかのように暗やみの中で見ます。
このような霊的な愚かな光が、虚偽を確信(証明)し、真理として見るまでも、そしてその後、真理と言われ、信じる者にあります——彼らのすべての者は後からの視覚の中にいて、何らかの前もっての視覚の中にいません」。