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結婚愛 268

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268 これらの後、ふたりの天使と私もまた、世俗愛からすべての富を所有する幻と幻想の中にいる者を見ようとする願いが起こった。私たちは、知られる目的のためにその願いが吹き込まれたことを知覚した。
彼らの小屋は私たちの足の地の下に、しかし、地獄の上方にあった。それゆえ、私たちは互いに見て、言った、「私たちは行きましょう」。そして、開口部が、そこに階段が見られた。これを通って、降りた。「彼らの幻想のもやの中に入らないように、そして知性に関して、その時、一緒に視覚に関して暗くされないように、東から近づかなくてはならない」と言われた。
[2]見よ、もやの中に立っているかのような、アシ(葦)から建てられ、割れ目だらけの家が見られた、そのもやは、壁の三つの割れ目を通って煙のように絶えず流れ出ていた。
私たちは入った、ここに五十人、そこに五十人が長椅子の上に座って、東と南から背いて西と北へ向かって眺めているのが見られた。それぞれの者の前にテーブルがあり、テーブルの上にふくらんだ財布、財布のまわりにおびただしい金貨があった。
私たちは、「これらは世のすべての富ですか?」と質問した。
「世のすべての富ではないが、王国のすべての富である」と言った。
彼らの話しの声はシューシュー言うようであり、自分自身には丸い顔に見られ、それはカタツムリの殻のように赤く輝き、そして目のひとみは緑の表面〔地色〕の中であたかもぴかっと輝くようであった、それは幻想の光からであった。
私たちは彼らの真ん中に立ち、「あなたがたは、自分たちは王国のすべての富を所有している、と信じていますか?」と言った。
答えた、「私たちは所有している」。
その後、私たちは質問した、「あなたがたのだれが〔所有しているのですか〕?」
彼らは言った、「それぞれの者が」。
私たちは質問した、「それぞれの者が、どのようにですか? あなたがたは大勢います」。
彼らは、「私たちのそれぞれの者は、彼のすべてのものが〝私のもの〟であることを知っている。ある者に、『〝私のもの〟はあなたのものではない』と考えること、まして、言うことが許されないが、『私のものは〝あなたのもの〟である』と考え、言うことは許される」と言った。
テーブルの上の硬貨は、私たちの前にも純金からできているように見えた。しかし、私たちが東からの光を引き入れたとき、それは共有の同一の幻想によってそのように大きくなった金の粒であった——彼らは、「入る者はだれでも、何らかの金を持参しなければならない。それを小片に、粒に切り分け、一致する幻想の力によって大きな形の硬貨へと大きくする」と言った。
[3]その時、私たちは、「あなたがたは理性的な人間に生まれませんでしたか? あなたがたの愚かな幻はどこからですか?」と言った。
彼らは、「私たちは、空虚な想像であることを知っている。しかし私たちの心の内的なものが喜ばせるので、私たちはここへ入り、すべてのものを所有するかように楽しむ。しかし、ここに私たちは、数時間の間しかとどまらない、それらを終えて私たちは出て行く、これほどに何度も健全な心が私たちに戻る——しかしそれでも、私たちの幻の楽しみが、交替に出てくる、そして行なう、時々、私たちは再び入る、また時々、出て行く。このように、私たちは交替に賢明であり、狂う——さらにまた、私たちは、狡猾さで他の者からその財産を盗む者にはきびしい運命が待っていることを知っている」と言った。
私たちは質問した、「どんな運命が〔待っているのですか〕?」
彼らは、「その者はのみ込まれ、そして裸で何らかの地獄の牢へ導き入れられ、そこで衣服と食物のために、そしてその後、何らかの小銭のために労働することを強いられ、その小銭を集め、それらの中に自分の心の楽しさを置く。しかし仲間に悪を行なうなら、自分のもの(個人財産)である小銭の一部を罰金として与えなければならない」と言った。